ロイヤル・ドーノックゴルフクラブは、スコットランドのハイランド地方、ドーノック湾のほとりに位置する世界屈指のリンクスコースです。
1616年にゴルフの記録が残るこの地は、セント・アンドリュースに次ぐ歴史を持ち、「ゴルフの隠れた宝石」として愛されています。
老舗の魅力、風光明媚なロケーション、戦略性の高いコース設計で、トム・ワトソンやドナルド・ロスら伝説のゴルファーからも称賛されてきました。
この記事では、ロイヤル・ドーノックの特徴とその魔法のような魅力を紹介します。
歴史と伝統:400年以上の遺産
ロイヤル・ドーノックの歴史は、1616年にサザーランド伯爵がゴルフクラブを購入した記録に遡ります。
1877年にクラブが設立され、1906年にエドワード7世により「ロイヤル」の称号を授与。
1886年には、オールド・トム・モリスが9ホールから18ホールに拡張し、現在のチャンピオンシップコースの基礎を築きました。
ドナルド・ロスはこの地で育ち、後にピンハーストNo.2など名コースを設計。
彼の特徴的な盛り上がったグリーンや戦略性は、ドーノックの影響を色濃く反映しています。
第二次世界大戦中には飛行場建設で一部ホールが失われたものの、ジョージ・ダンカンにより6~11番ホールが新設され、現在の姿が完成しました。
コースの特徴:自然と戦略の融合
チャンピオンシップコース(パー70、約6,700ヤード)は、ドーノック湾沿いの砂丘とゴース(ハリエニシダ)に囲まれた典型的なリンクスコースです。
特徴は、盛り上がった「テーブルグリーン」と深いポットバンカー。
グリーンは小さく、風の影響を受けやすいため、正確なショットと創造力が求められます。特に名高いのは6番ホール(パー3)。
ゴースに囲まれた崖の上のグリーンは、左は海、右は急斜面と、完璧なショット以外は許されません。
14番「フォクシー」(パー4)はバンカーなしで戦略性を発揮し、丘陵を縫うフェアウェイと高台のグリーンが挑戦者を試します。
コースはアウトとバックの伝統的なレイアウトで、海の眺望がほぼ全ホールで楽しめ、春にはゴースの黄色がコースを彩ります。
ストゥルイコースと施設
ロイヤル・ドーノックには、チャンピオンシップコースのほか、ストゥルイコース(パー71、約6,300ヤード)もあります。
2023年に100周年を迎えたこのコースは、狭いフェアウェイと小さなグリーンで異なる挑戦を提供。
マッケンジー&エバートによる9番ホールの新設計(インフィニティグリーン)が話題です。
クラブハウスは控えめながら、食事やバーが充実。
練習場や無料トロリーも完備し、キャディサービスは地元のグリーンキーパーが務めることもあり、コースの誇りと知識がプレーを豊かにします。
ビジターは週7日歓迎され、2024年のグリーンフィーは夏場で約280ポンド、トワイライトや冬期は割安です。
ロケーションとアクセス
ドーノックはインヴァネスから北へ車で約50分の僻地にあり、その孤立感が神秘性を高めています。
ドーノック湾の白い砂浜と背後の山々が織りなす風景は、ゴルフの聖地としての風格を放ちます。
アクセスは容易ではないものの、ハイランド・ゴルフ・リンクス(ロイヤル・ドーノック、キャッスル・スチュアート、ネアン)のパッケージで訪れるゴルファーも増加。
周辺にはドーノック大聖堂や幽霊伝説の残るドーノック城があり、ゴルフ以外の魅力も豊富です。
最後に
ゴルフライターのハーバート・ウォレン・ウィンドは、「ロイヤル・ドーノックをプレーし、研究しないゴルファーは教育を終えていない」と述べました。
トム・ワトソンは「人生で最も楽しいゴルフ」と絶賛。
世界ランキングで10位以内(2024年ゴルフダイジェスト2位)に常連のこのコースは、スコアを競う以上に、自然と歴史に浸る体験です。
風と戦い、ゴースを避け、完璧なショットを刻む――ロイヤル・ドーノックはゴルファーの魂を揺さぶります。
次のスコットランド旅行では、ぜひこの聖地を訪れてみてください。