第90回マスターズを制したマキロイは、オーガスタ・ナショナルで連覇を達成した史上4人目のゴルファーとなりました。
ジャック・ニクラス(1965〜66年)、ニック・ファルド(1989〜90年)、タイガー・ウッズ(2001〜02年)。
これだけの名前と並ぶという事実が、この優勝の重みをそのまま示しています。
通算12アンダー、スコッティ・シェフラーに1打差をつけての優勝。
数字だけ見れば盤石に映りますが、そこに至る道のりは4日間にわたる神経戦でした。
圧巻の前半、そして崩壊の予感
マキロイは出だしから支配的でした。
2ラウンドを終えて通算12アンダー、2位に6打差という大きなリードを築き、大会史上最大の36ホール時点でのリードを記録しました。
ところが第3ラウンドで、その貯金がみるみる消えていきます。
土曜日には劇的な動きが続き、6打あったリードが完全になくなりました。
最終日を迎えた時点で、マキロイはキャメロン・ヤングと11アンダーで並んでの首位タイです。
ゴルフファンの脳裏をよぎったのは、2011年の悪夢だったはずです。
あの年のマスターズ最終日、マキロイは3打リードのまま後半へ向かいながら、10番からトリプルボギー、ボギー、ダブルボギーという崩壊を経験しました。
「またか」という囁きが、世界中のゴルフ場とリビングルームに満ちたのは想像に難くありません。
最終日、再び試練が訪れる
最終ラウンドが始まると、マキロイはすぐにつまずきました。
4番ホールでダブルボギーを叩き、後続に扉が開きました。
前半を折り返した頃には、ジャスティン・ローズが12アンダーで単独首位に立ち、マキロイは3打差まで追い詰められていました。
しかしここからが、チャンピオンの底力です。
ローズが11番で右にアプローチを外してボギー、続く12番でもチップショットを失敗して2連続ボギーで後退すると、マキロイは12番のティーショットをピン7フィートにつけてバーディー。
13番でも連続バーディーを奪い、通算13アンダーへ浮上しました。
「エイメン・コーナー」での2連続バーディーが、勝負の分かれ目になりました。
そこからは粘りの連続です。
15番でウォーターハザードすれすれの第3打を打ちながらもパー。
16番では大きくグリーンを外してパターで寄せるという離れ技でパーをセーブしました。
18番では右の林にティーショットを打ち込んでリードを1打に縮める展開となりましたが、最後はしっかりパーでホールアウト。
絶叫に包まれたギャラリーの中、マキロイは静かに目を閉じました。
伝説の台座に登った男
「17年待って最初のグリーンジャケットをようやく手にしたと思ったら、2年連続で取ってしまった。過去のこの大会でのすべての粘りが、やっと実を結んできた気がする」。
優勝後にそう語ったマキロイの言葉は、飾り気がありません。それが余計に重く響きました。
6つ目のメジャータイトルにより、マキロイはリー・トレビノ、ニック・ファルド、フィル・ミケルソンと並んで通算メジャー勝利数で史上12位タイに並びました。
通算賞金は1億1500万ドルを超え、タイガー・ウッズの約1億2100万ドルに次ぐ歴代2位に浮上。
今大会の優勝賞金450万ドル(約6億7500万円)も含め、その数字がキャリアの中身を静かに語っています。
追う者たちの奮闘
敗れたとはいえ、対抗勢力も見事な戦いを見せました。
シェフラーは大会前半を12打差という出遅れからスタートしながら、最終36ホールで65・68というスコアを出し、11のバーディーを奪って猛追しました。
世界ランキング1位の底力を見せた2日間でした。
3位タイには、タイレル・ハットン、ラッセル・ヘンリー、ジャスティン・ローズ、キャメロン・ヤングが通算10アンダーで並びました。
次なる挑戦、3連覇へ
マキロイには今や、2027年大会での3連覇という前例のない偉業を狙う立場が与えられました。
優勝後、記者に囲まれた彼はこう言いました。「去年は、マスターズを勝ってキャリアグランドスラムを達成しようとしていたから、本当に難しいと思っていた。今年になって気がついた。マスターズを勝つこと自体が、単純に本当に難しいのだと」
その難しさを2年続けて制した男は、オーガスタの空に向かって娘のポピーを高く抱き上げました。
ニクラス、ファルド、ウッズ、そしてマキロイ。その4人の名前が、これから先も長く語り継がれるはずです。












