キーガン・ブラッドリー:アメリカ

 

キーガン・ブラッドリー(Keegan Bradley)は、アメリカ合衆国バーモント州出身のプロゴルファーで、PGAツアーで数々の成功を収めてきた選手として知られています。

1986年6月7日生まれの彼は、ゴルフ一家に育ちました。

特に叔母のパット・ブラッドリーはLPGAツアーでメジャー6勝を含む通算31勝を挙げ、世界ゴルフ殿堂入りした名選手です。

また、父親のマーク・ブラッドリーもゴルフのプロで、家庭内でゴルフが自然と生活の一部となっていました。

そんな環境で育ったブラッドリーは、独自のプレイスタイルと精神力で、現代ゴルフ界で際立った存在感を示しています。

スポンサーリンク

キャリアの始まりと初期の成功

ブラッドリーのゴルフキャリアは、大学時代から注目を集めていました。

ニューヨークのセント・ジョーンズ大学に進学し、在学中に9つのタイトルを獲得するなど、アマチュアとして素晴らしい成績を残します。

2008年にプロ転向後、下部ツアーで経験を積み、2011年にPGAツアーデビューを果たしました。

その年、彼のキャリアに大きな転機が訪れます。

初出場となった「HPバイロンネルソン選手権」で、ライアン・パーマーとのプレーオフを制し、PGAツアー初勝利を手にしました。

さらにその数か月後、メジャー大会である「全米プロゴルフ選手権」で初出場初優勝という快挙を達成します。

この勝利は、史上3人目となるメジャー初出場優勝で、25歳の若さで一気にスターダムにのし上がりました。

 

 

2011年の全米プロでの勝利は、特に劇的でした。

最終日に首位と5打差をつけられ、15番ホールでトリプルボギーを叩くなど絶体絶命の状況に追い込まれます。

しかし、16番と17番で連続バーディーを奪い、驚異的な挽回を見せました。

最終的にジェイソン・ダフナーとのプレーオフを制し、メジャータイトルを獲得します。

この勝利で彼の世界ランキングは108位から29位へと急上昇し、注目選手としての地位を確立しました。

中盤の試練と復活

キャリア初期の華々しい成功の後、ブラッドリーは2012年に「WGCブリヂストン招待」で世界選手権シリーズ初優勝を飾り、さらなる飛躍が期待されました。

 

 

しかし、その後の数年間は試練の時期が続きます。

特に2016年、ゴルフ界で大きなルール変更が施行されたことが彼に影響を与えました。

ブラッドリーは中尺パター(ベリーパター)を使い、パットの際にグリップエンドを体に固定する「アンカリング」スタイルを採用していましたが、この手法が禁止されたことでパッティングに苦しむようになります。

ストロークゲインド・パッティングのランキングが急落し、勝利から遠ざかる時期が続きました。

それでも彼は諦めませんでした。試行錯誤の末、2021年に新たなパッティングスタイル「アームロック」を採用し、オデッセイの「VERSA JAILBIRD」パターに切り替えます。

このパターは白黒のコントラストが特徴で、フェースの向きを正確に意識しやすく、高い慣性モーメントで安定感をもたらす設計が施されています。

また、有名コーチのフィル・ケニオンと取り組み、パッティングを再構築しました。

その結果、2022年の「ZOZOチャンピオンシップ」で4年ぶりのツアー5勝目を挙げます。

 

 

さらに2023年には「トラベラーズ選手権」で勝利を重ね、復活を印象づけました。

2024年にはプレーオフシリーズ第2戦「BMW選手権」でポイントランク50位からの逆転優勝を果たし、通算7勝目を記録しています。

 

 

プレイスタイルの特徴

ブラッドリーのプレイスタイルは、ロングゲームの精度と精神的なタフさが際立っています。

特にドライバーショットとアイアンショットの安定性はPGAツアーでもトップクラスで、ストロークゲインド・アプローチ・ザ・グリーンやトータル・ドライビングで上位に名を連ねることが多いです。

 

 

長い距離でも正確にグリーンを捉える能力は、彼の最大の武器と言えます。

また、コース上での集中力と逆境に立ち向かうメンタリティも特筆すべき点です。

全米プロでの劇的な逆転劇や、BMW選手権での逃げ切り勝利は、彼の精神力があってこそ成し得たものです。

一方で、パッティングはかつての弱点でしたが、アームロックスタイルへの移行後は改善が見られます。

以前の中尺パター時代は、独特のリズムでストロークする姿が特徴的でしたが、現在はよりシンプルで安定した動きに変わっています。

彼自身、夏のシーズンに調子が上がると語っており、温暖な気候でのプレーに適応する能力も持ち合わせています。

リーダーシップと未来への展望

2024年7月、ブラッドリーは2025年のライダーカップ米国チームのキャプテンに任命されました。

これは彼にとって大きな名誉であり、前回大会(2023年)で選手として選ばれなかった悔しさを晴らす機会でもあります。

Netflixのドキュメンタリー『フルスイング』でその落選の瞬間が描かれ、ファンにも彼の熱い思いが伝わりました。

キャプテンとしての彼は、自身の経験を活かし、若手とベテランを融合させたチーム作りを目指すでしょう。

現在38歳のブラッドリーは、キャリアの後半戦に差し掛かっていますが、その競争力は衰えていません。

15キロのダイエットで体型を絞り、フィジカル面でも進化を遂げました。

彼はさらなるタイトル獲得を目指しています。

また、尊敬する人物として父親、ベン・ホーガン、NFLのトム・ブレイディを挙げており、特にブレイディのような長期的な成功を意識していることがうかがえます。

最後に

キーガン・ブラッドリーは、華々しいデビューから試練の時期を乗り越え、再び頂点に返り咲いた不屈のゴルファーです。

ロングゲームの精度と精神的な強さを武器に、メジャー制覇やツアー7勝を達成し、プレイスタイルの進化でさらなる可能性を示しています。

ライダーカップキャプテン就任を控え、選手としてだけでなくリーダーとしてもゴルフ界に貢献していく彼の今後が楽しみです。

タイトルとURLをコピーしました