ロイヤル・カウンティー・ダウン・ゴルフ・クラブ:アイルランド

 

ロイヤル・カウンティー・ダウン・ゴルフ・クラブ(Royal County Down Golf Club)は、北アイルランドのニューカッスル、ダウン州に位置する、世界で最も名高いリンクスゴルフコースの一つです。

1889年3月23日に設立されたこのクラブは、アイルランドで最も古いゴルフクラブの一つであり、ゴルフダイジェスト誌で2017~2019年に「世界のベストゴルフコース第1位」に輝くなど、世界的評価も高い名門です。

モーン山脈を背景に、ダンドラム湾沿いのマルロー自然保護区に広がるその景観は息をのむ美しさで、ゴルファーの聖地として知られています。

この記事では、同クラブの歴史、コースの特徴、施設、訪問のポイントを詳しく紹介します。

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歴史と伝統

ロイヤル・カウンティー・ダウンは、ベルファストの有力な実業家や専門家たちによって設立されました。

公式なコース開設以前から、ニューカッスルのウサギの巣窟で簡単なゴルフが行われていた記録もありますが、ベルファストとニューカッスルを結ぶ鉄道の開通と、ビクトリア朝時代にニューカッスルが海辺のリゾート地として人気を博したことが、正式なゴルフコース設立のきっかけとなりました。

初代の9ホールは、ゴルフコース建設に情熱を注いだスコットランド人教師ジョージ・L・ベイリーが主導し、1889年にオープン。

その後、セント・アンドリュースの伝説的設計者オールド・トム・モリスが招かれ、わずか4ポンドの報酬で2日間滞在し、追加の9ホールを設計。

1890年7月には18ホールが完成しました。

この時代、現代のような大規模な土木工事はなく、自然の砂丘地形を活かしたリンクスコースが誕生しました。

その後、ハリー・バードンやハリー・コルトら著名な設計者が改良を加え、現在の姿に進化しました。

同クラブは、数々の名門トーナメントを開催してきました。

2007年にはアイルランドで2番目のウォーカーカップ開催地となり、2015年には76年ぶりにアイリッシュ・オープンを開催。

シニア・ブリティッシュ・オープン(2000~2002年)やブリティッシュ・レディース・アマチュア選手権(2019年)など、歴史的な大会も多数開催されています。

ロリー・マキロイやタイガー・ウッズといったトッププロもこのコースでプレーし、その難易度と美しさを称賛しています。

 

 

コースの特徴

ロイヤル・カウンティー・ダウンは、チャンピオンシップ・リンクス(7,186ヤード、パー71)とアンセリー・リンクス(4,548ヤード、パー66)の2つの18ホールコースを擁します。

特にチャンピオンシップ・リンクスは、世界最高峰のリンクスコースとして知られ、ゴルフ史に名を刻む名ホールが揃っています。

コースはモーン山脈とダンドラム湾に挟まれたマルロー自然保護区に位置し、砂丘、紫のヒース、黄のゴース(ハリエニシダ)が織りなす風景は壮観です。

各ホールはジグザグに配置され、ほぼ全てのホールから異なる眺望が楽しめます。

 

 

コースの特徴:

狭いフェアウェイとブラインドショット:フェアウェイは「リボンのように狭い」と形容され、正確なティーショットが求められます。

特に9番ホール(パー4、486ヤード)は、巨大な砂丘越えのブラインドティーショットで知られ、世界で最も撮影されるホールのひとつ。

ブラインドショットが多いため、初めての訪問者にはキャディの同行が強く推奨されます。

「ひげ付き」バンカー:

マラム草やレッドフェスク、ヒースが覆うバンカーは、世界的に有名で、脱出が非常に難しい。

ゴルフダイジェストのライターは「別の次元へのポータル」と形容しています。

高速グリーン:ドーム型のグリーンは速く、正確なアプローチが不可欠。

伝統的なバンプ・アンド・ランが推奨されるリンクスらしい設計です。

名門の9ホール:特にフロント9は「世界最高のオープニング9ホール」と称され、2番、4番、9番ホールは特に印象的。

4番(パー3、200ヤード以上)は、モーン山脈と海を背景にした絶景のティーショットが特徴です。

コースレコードは1939年にジミー・バレンが記録した66で、その難易度の高さを物語ります。

ロリー・マキロイでさえ2015年のアイリッシュ・オープンで80を叩いたほど、プロにとっても手強いコースです。

 

 

施設とホスピタリティ

クラブハウスは、1894年のオリジナル建物を含む歴史的な建築で、2005年に大規模な改修が行われました。

プロショップは高品質な商品が揃い、マーロー・ルームでは18番グリーンやモーン山脈を眺めながら軽食や本格的な食事が楽しめます。

バーとダイニングルームは、訪問ゴルファーに快適なリラックス空間を提供。

キャディサービスも充実しており、コースの難易度を考慮すると特に初訪問者には必須です。

キャディは独立契約者で、1グループに最低1人のフォアキャディ(£100+チップ)が義務付けられています。

バギーは地形の関係で使用不可のため、歩行が基本です。

クラブは持続可能性にも力を入れており、特別保護地域(SAC)および特別科学興味地域(ASSI)の指定を受け、動植物の保護に取り組んでいます。

水の効率利用、再生可能エネルギー(太陽光発電の計画など)、地域コミュニティとの連携も積極的に行っています。

 

 

訪問のポイント

アクセス:

ニューカッスルはベルファストから南へ約30マイル(車で約1時間)、ダブリンから北へ約90マイル。

公共交通では、ベルファストからの鉄道やバスが便利です。

予約:

チャンピオンシップ・リンクスのティータイムは非常に人気で、少なくとも12ヶ月前の予約が推奨されます。

予約はクラブの事務局を通じて行い、オンライン予約は不可。

平日(月・火・木曜午前、金・日曜午後)が訪問者向けの日程です。

グリーンフィーは4~10月で£375と高額ですが、世界的評価に見合った価値があります。

推奨:

キャディ利用、適切なティー選択(レディース/シニアティーでも6,200ヤード以上)、ゴルフ旅行保険の検討。

アンセリー・リンクスも同等の景観を楽しみながら戦略的なプレーが可能なため、36ホールのプランも魅力的です。

周辺:

隣接するスリーブ・ドナード・ホテルは高級宿泊施設として人気で、ゲーム・オブ・スローンズのロケ地ツアーも楽しめます。

 

 

まとめ

ロイヤル・カウンティー・ダウン・ゴルフ・クラブは、圧倒的な自然美、挑戦的なコース設計、豊かな歴史が融合したゴルフの聖地です。

狭いフェアウェイ、ブラインドショット、ひげ付きバンカー、高速グリーンが織りなすリンクスゴルフの真髄は、ゴルファーの技術と精神を試します。

モーン山脈とダンドラム湾の絶景に囲まれたこのコースは、一度プレーすれば忘れられない体験となるでしょう。

世界最高のゴルフコースを体感したいなら、ぜひ訪れるべき場所です。

 

 

参照:公式ロイヤル・カウンティー・ダウン・ゴルフ・クラブ

 

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